インフラエンジニア

インフラエンジニアに女性が少ないのはなぜ?夜勤との関係を徹底解説

インフラエンジニアを目指している、あるいはこれからその道に進もうとしている。
そんなときにふと気になるのが、
あれ、インフラエンジニアって女性が少なくない?」という疑問ではないでしょうか。

実際にインフラの現場では、男性が多く、女性エンジニアは少数派という声もよく聞きます。
その理由としてよく挙げられるのが「夜勤がある」「体力的にハード」「男社会っぽい」などの働き方や環境です。

では、本当にインフラエンジニアは女性にとってハードルが高い職業なのでしょうか?

この記事では、
「なぜインフラエンジニアに女性が少ないのか?」という疑問に対して、
現場の視点や働き方の実態を踏まえて、理由を丁寧に分解・解説していきます。

また、これからインフラエンジニアを目指す女性が安心して進めるように、具体的な対策や選択肢も紹介します。

1. エンジニアを目指す女性は増えている

かつては「IT業界=男性社会」というイメージが強かったものの、近年では少しずつ状況が変わりつつあります。実際、エンジニアを目指す女性は確実に増えていると感じています。

経済産業省が平成28年に発表した『IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果・報告書概要版』によると、当時、IT関連産業における女性の比率は全体の約4分の1(25%程度)という数字が示されています。数値としてはまだまだ少ないですが、現場の「肌感覚」ではそれ以上に増えている印象があります。

私自身、以前携わっていたプロジェクトでは男女比が6:4で女性の方が多かったこともありましたし、最近では新卒・中途を問わず入社してくるエンジニアの男女比が半々というケースも珍しくありません。特に平成28年以降、女性エンジニアが着実に増加しているのは、現場で働く中でも実感しています。

では、なぜ女性がエンジニアを目指すようになってきているのでしょうか?

その背景には、「手に職をつけられる」「リモートワークが可能」「同世代と比べて年収が高め」といった、IT業界ならではの魅力があると考えられます。

特にここ数年で、「安定して働ける職業」や「柔軟な働き方ができる仕事」を求める人が増えており、エンジニア職がその選択肢として注目されているのです。

こうした流れの中で、女性がIT業界に興味を持ち、インフラエンジニアを目指すのは、自然なことなのかもしれません。

「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果・報告書概要版」

https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/daiyoji_sangyo_skill/pdf/001_s02_00.pdf

2. インフラエンジニアに女性が少ないって本当?

エンジニアを目指す女性は確実に増えている。
それにもかかわらず、「インフラエンジニアに女性が少ない」という話は本当なのか?と疑問に思う方もいるかもしれません。

結論から言うと、これは事実です。

私が現在携わっているインフラ系のプロジェクトには、15名ほどのメンバーが在籍していますが、女性はわずか1名だけです。
以前参加していたプロジェクトでは、40名近い体制でしたが、女性は5名程度。どちらも全体の10〜15%程度にとどまっており、女性の少なさは肌で感じるレベルです。

もちろん、女性エンジニア全体の数は確実に増えています。しかしその増加の波が、インフラ領域にまでしっかり届いているかというと、現時点ではそう感じられません

アプリ開発やWeb系エンジニアの領域では、男女の割合が比較的均衡してきている現場も見受けられますが、インフラ領域においては依然として男性が中心。
現場では「女性が珍しい存在」であることが多く、自然と注目を集めてしまったり、逆に孤立感を覚えたりするケースもあります。

3. なぜ女性インフラエンジニアは少ない?

前章では、インフラエンジニアの現場に女性が少ないという事実をご紹介しました。
では、なぜ女性がインフラエンジニアを目指すケースが少ないのでしょうか?

ここでは、その理由を4つの視点から紐解いていきます。

3-1. IT業界と聞いて、インフラ領域がイメージできない

まず最初の理由として、「IT=プログラミング」という先入観が挙げられます。

近年では、小学校でプログラミング教育が必修化されるなど、ITに触れる機会が増えてきました。しかし、多くの人が「IT」と聞いて思い浮かべるのは、アプリやWebサイトの開発など、プログラミングに直結した世界ではないでしょうか。

実際、「プログラミングスクール」という言葉はよく見かけますが、「インフラエンジニアスクール」という表現はあまり耳にしません。そのため、インフラという職種自体が、進路選択の選択肢に入りにくい状況があります。

さらに、Web系企業にはキラキラしたイメージや、デザイン性の高い仕事が多く、特に美意識や感性を重視する女性にとっては、魅力的に映ることも多いでしょう。一方で、インフラ系の仕事には地味・裏方・男性向きといったイメージが先行し、あまり注目されにくいのが現実です。

このように、そもそも「職業としての存在が見えにくい」「選択肢としての認知度が低い」ことが、インフラ分野に女性が少ない根本的な理由のひとつといえるでしょう。

3-2. 夜勤がある働き方のハードル

2つ目の理由は、夜勤のある働き方です。

インフラエンジニアはシステムの安定稼働を支える仕事であるため、トラブル対応やシステムの切り替え作業などが深夜・早朝に行われることも珍しくありません。これにより、夜勤や変則勤務が発生することがあります。

こうした働き方は、ライフスタイルに大きな影響を与えます。特に女性は、出産や育児といったライフイベントによって働き方を見直すタイミングが男性より多く訪れるため、夜勤という働き方との相性が気になる人も多いでしょう。

多くの女性が20代後半から30代にかけてライフスタイルの変化を経験します。その時期に、「夜勤がある働き方は今後の自分の生活に合わないかもしれない」と感じ、インフラエンジニアという選択を避けるケースがあるのではないでしょうか。

3-3. 体力的な負担が大きい

3つ目の理由は、インフラ業務に伴う体力的な負担です。

インフラエンジニアの仕事には、サーバーやネットワーク機器の設置・交換など、物理的な作業が含まれることがあります。例えば、ラックマウント型のサーバーやUPSなどの重量物を搬入・設置する場面では、20kg〜40kgもの機器を扱うこともあります。

また、作業場所が空調の効いたオフィスではなく、冷え込んだデータセンターであることも多く、常に快適とは言えない環境下での作業が求められます。

このような体力的・環境的にハードな業務内容が、「やってみたいけど、自分には厳しそう」と感じさせてしまう要因になっている可能性があります。

もちろん、すべてのインフラ業務がこうした重作業ばかりではありませんが、「キツそう」「力仕事が多そう」というイメージ先行が、女性の参入を妨げているのかもしれません。

3-4. 男性社会な現場文化

最後に、現場の文化そのものが男性中心であることも、女性が少ない理由として無視できません。

先述の通り、インフラ現場は男性の割合が高いため、職場の雰囲気や会話の内容、業務の進め方などが男性的な文化で成り立っていることが多いです。

そのため、配慮が足りなかったり、暗黙の了解が共有されていなかったりすることで、女性が「居づらさ」を感じるケースもあるでしょう。

また、逆に「女性に配慮しすぎる」と、今度は男性陣から不満が出てしまい、チームのバランスが取りにくくなるといった問題も起こり得ます。結果として、女性が働きづらい空気ができてしまうこともあります。

こうした文化的な障壁がある限り、インフラエンジニアという職業が女性にとって「選びにくいもの」となってしまうのは否定できません。

4. 女性はインフラエンジニアに向いてないのか?

ここまで、インフラエンジニアに女性が少ない理由をいくつか紹介してきました。
では、「女性はインフラエンジニアに向いていないのか?」と問われれば、
私は決してそうではない
と強く思います。

確かに、夜勤や体力的なハードさなど、向き不向きを感じる場面もあるかもしれません。
ですが、実際の現場では、性別に関係なくインフラエンジニアとして活躍している女性もたくさんいますし、むしろ女性だからこその強みを発揮しているケースもあります。

インフラ業界は人材不足、だからこそ復帰しやすい

まず、インフラ業界は深刻な人材不足が続いている分野の一つです。
そのため、産休・育休などで一時的に現場を離れたとしても、「ぜひ戻ってきてほしい」という企業は多く、復帰しやすい環境が整いつつあります。

さらに、IT業界は変化の早い世界ではありますが、インフラ領域はその中でも土台となる技術が大きく変わることは少ないという特徴があります。
一度しっかりと基礎を身につけておけば、ブランクがあってもキャッチアップしやすく、長期的にキャリアを築きやすい職種です。

インフラエンジニアは年収が高く、専門性で評価されやすい

インフラエンジニアは、高度な専門性が求められる職種です。
そのぶん、企業からのニーズも高く、年収も比較的高い水準で推移していることが多いです。

また、経験やスキルがストレートに評価されやすい業界なので、スキルを磨けば磨くほど、年収アップやポジションのステップアップにもつながりやすいのが特徴です。

「裏方」「地味」と思われがちなインフラ領域ですが、実は安定性と成長性を兼ね備えた“堅実な職種”なのです。

一見するとハードな職種に見えるかもしれませんが、インフラエンジニアは「長く続けられる、安定感のある仕事」として、実は女性にとっても魅力的な選択肢のひとつなのです。

5. 女性がインフラエンジニアを目指すためには

ここまで読んで、「インフラエンジニアという仕事に興味はあるけれど、自分にできるのか少し不安…」と感じている方もいるかもしれません。

そんな方のために、これからインフラエンジニアを目指す女性が、安心してキャリアをスタートするための選択肢を3つご紹介します。

5-1. クラウド領域にチャレンジしてみる

物理的な作業が多い印象のあるインフラ業務ですが、クラウド領域であれば、物理機器の設置やデータセンターでの作業とは無縁です。
AWSやAzureといったクラウドサービスを活用する仕事では、基本的にPCさえあれば自宅からでも作業ができるため、リモートワークとの相性も抜群です。

また、クラウドは今やインフラ業界でも最も注目されている分野のひとつ。
スキルがあればあるほど需要が高く、報酬面でも評価されやすい傾向にあります。

「インフラには興味があるけれど、物理的な作業や夜勤は避けたい」という方は、クラウド系インフラエンジニアを目指すのも非常におすすめです。

5-2. 上流工程を目指す

もう一つの選択肢が、上流工程(要件定義・設計など)にステップアップすることです。

上流工程では、現場での物理作業は発生せず、お客様との調整やドキュメント作成が主な業務になります。
多くの企業ではこの工程をリモートワークで対応しているケースも多く、柔軟な働き方が可能です。

ただし、上流工程を担当するには、インフラに関する基礎的な知識や現場経験がある程度必要になります。
そのため、まずは目の前の業務を通じてスキルを磨き、徐々にキャリアを積み重ねていくことが重要です。

5-3. 夜勤のない職場を選ぶ

インフラエンジニアの中でも、特に運用保守系の仕事では夜勤が発生することがあります。
とはいえ、すべてのインフラ職が夜勤必須というわけではありません。

例えば、社内SEやクラウド系の設計構築業務であれば、夜間対応のない職場も多く存在します。
求人票の「勤務時間」や「シフト制」の有無をしっかり確認するほか、面接の場で夜勤の有無を質問するのもまったく問題ありません。

働き方に不安がある場合は、夜勤がない現場を明確に選ぶことが、長く続けるための第一歩になります。

このように、「物理作業を避けたい」「夜勤は難しい」という方でも、働き方や職種の選び方次第で、無理なくインフラエンジニアを目指すことは可能です。

6. まとめ

この記事では、「なぜインフラエンジニアに女性が少ないのか?」という疑問を出発点に、実際の現場の状況や、少ない背景、そして今後目指すためにできることについてお伝えしてきました。

たしかに現時点では、インフラエンジニアという職種は男性が多く、女性が少ない現場が多いのが事実です。
その背景には、「夜勤のある働き方」「体力面の不安」「男性社会的な文化」など、さまざまな要因が絡み合っています。

しかし、だからといって女性に向いていないということでは決してありません。
むしろ、インフラエンジニアは専門性が高く、長く働ける安定した職種であり、しっかりと知識と経験を積めば、ライフスタイルに合わせた働き方も実現可能です。

とくにクラウド領域や上流工程、夜勤のない職場を選ぶことで、女性でも無理なく続けられるキャリアパスを描くことができます。

不安を抱えるのは当然です。でも、不安があるからこそ、情報を集めて準備ができるのも事実です。

この記事が、
「インフラエンジニアを目指したいけど不安がある」
「女性でもやっていけるのか知りたい」
というあなたにとって、一歩踏み出す後押しになれたらうれしいです。